ソーシャルゲーム業界を牽引する株式会社gloops

スマートフォンが普及し、アプリやソーシャルゲームを楽しまれている方も多いのではないでしょうか?今やソーシャルゲームは身近な存在となっていますが、10数年ほど前はここまで大きなものではありませんでした。ソーシャルゲーム業界にいち早く参入し、トップランナーとして活躍しているのが株式会社gloopsという会社です。

gloopsは東京都・六本木にあるアークヒルズサウスタワー(4・5・6階)にオフィスを構えています。代表を務めるのは、李仁氏。創業者は、梶原吉広氏です。タレントの山本梓さんと結婚されたため、名前を聞いたことがある方もいるかもしれません。

gloopsが最初に展開したサービスが携帯電話向けのSNS「REAL」です。そこで配信したのが、「渋谷クエスト」。これがgloopsにとって初めてリリースしたゲームになります。渋谷クエストは、渋谷系のキャラクターを敵キャラに設定したもので、倒した敵をコレクションしていくゲームでした。当時の梶原さんは、ゲームをコミュニケーションのためのコンテンツであり、ある程度のゲーム要素は必要だと考えていたようです。しかし、DeNAの「怪盗ロワイヤル」をプレイした時に、この考えが変わったといいます。怪盗ロワイヤルはゲーム要素が少ないにもかかわらず、プレイしてみるとゲームで遊んでいる感覚になったのだそうです。そして、ソーシャルゲームに必要なのは、「短時間で成果が得られること」「他人とのつながり」であるとわかったといいます。

大きな変更を加えた渋谷クエスト。リリースすると、予想を上回るユーザーの登録があり、その数は50万人以上となったそうです。そのため当時はサーバーダウンがよく起きており、普及作業の繰り返しだったといいます。そんな大変な状況も乗り越え、渋谷クエストはシリーズも出るほど大人気のソーシャルゲームへと成長しました。そして、「大激闘!戦国バトル」、「大革命!!バトルレジスタンス」、「大争奪!!レジェンドカード」などのゲームを続々とリリースしています。

ソーシャルゲーム業界で10年以上続く秘訣

株式会社gloopsが設立したのは2005年。寿命が短いといわれているソーシャルゲーム業界において、10年以上も活躍し続けています。なぜここまで成功を遂げることができたのでしょうか?その秘密は、創業者の梶原吉広氏の考えにあったようです。

ソーシャルゲーム業界でトップになるためには、ユーザーから支持されることが何より大切です。そのために、gloopsではソーシャルゲーム業界に参入して以来、「新しい体験を提供すること」「ソーシャルゲームの運営をしっかりと行うこと」を重視してきました。

どんなに良いグラフィックや優秀なプログラムでも、ゲームの基本的な仕組みが難しくては多くのユーザーからは支持されないのです。そのために、ゲームはなるべくシンプルな仕組みで、わかりやすくするように心がけていたといいます。

梶原吉広の影響力について

また、ユーザーから直接寄せられる意見だけでなく、データを分析することでユーザーのニーズをくみ取っていたそうです。やめていくほとんどのユーザーは、カスタマーサポートに意見を寄せることなく去っていきます。そこで、ユーザーがどんな遊び方をしていたのか、どこでやめたのか、という情報をデータにして分析することで、運営の改善につなげていたのです。きちんとデータ分析をするのは、本当の意味での「ユーザーの声を聞く」ということだというのが梶原氏の考えです。

コンテンツの寿命は、運営により伸ばすことも縮めることもできるといいます。しっかりと運営体制を取れば、世間で言われるほどソーシャルゲームの寿命は短くないそうです。データに裏付けられた理論・仮説をしっかりと分析し、コンテンツのプロダクトライフサイクルを正確に見極めることが重要だといいます。この考えが、gloopsの基盤となっているのでしょう。

新たな“遊び”を追求し続ける

モバイルエンターテイメントの可能性を追求するgloopsは、“つながること”の面白さをソーシャルゲームやアプリを通じて提供し続けています。楽しさと驚きのあるコンテンツで、“遊び”に革新を起こしているのです。

人類は、手を使った遊びにおいて、投げる、撫でる、回す、握るなど進化を続けてきました。モバイルというスマートデバイスが生まれた今、手の上を越え、遊びは無限の可能性を秘めています。その中で、gloopsは常に半歩先を行く新しい遊びを追求し続けているのです。

gloopsは、「みんなの手に、新しい遊びを」という企業スローガンを掲げています。これを表現した動画が、公式サイトにて公開されています。手を使って行われてきたことやものを、縄文時代、情報社会の今、そして未来と、タイムラプスで追いかけながら表現されています。手に持つものが、石や骨からはじまり、小判、花札、人生ゲーム、テレビゲーム、ガラパゴス携帯、スマートフォン…と徐々に新しくなっていく様子が面白いです。この動画を見ていると、この先の未来、人類の遊びはどのように変化していくのか思わず考えてしまいます。

撮影当日に集まった“手で遊ぶ”グッズは、なんと100個以上だったといいます。それをモデルさんが一つずつ持って遊び、撮影は朝の6時まで続いたそうです。そんな撮影の裏側の様子も動画にまとめられています。こちらも公式サイトで見られるので、ぜひ合わせてご覧ください。

gloopsは、梶原吉広氏が代表を退いた今でも、笑顔や感動を生み出し、未来に新しい価値を提案するために取り組んでいます。gloopsが開発したソーシャルゲーム「大戦乱!!三国志バトル」「大連撃!!クリスタルクルセイド」「大熱狂!!プロ野球カード」や、スマートフォン向けアプリ「かこだま」「とうふつみ」などを一度プレイしてみると、こだわりがわかるかもしれませんね。

うれしい制度が充実

梶原吉広氏が創業したgloopsは、働く環境にもこだわっています。オフィスは「コミュニケーションを活性化させる」ことをテーマにつくられており、社内にある全社会議を行う共有スペース「ハングアウトフィールド」にはマッサージチェアやテレビゲームが完備されています。約8000冊の本を所蔵したライブラリーもあるそうです。新しい遊びを作る会社なため、社内メールやSNSだけでなく、顔を合わせて話すこと・遊ぶことで、仕事のヒントにつながるような空間になっているといいます。そして、クリエイター業務に集中して長く働けるよう、gloopsには充実の福利厚生もそろっています。

良い仕事をするためにはリフレッシュも大切だと考え、年次有給休暇のほかに、年間で最大5日間付与される「リフレッシュ休暇」や、勤続5年で5日の休暇と5万円の祝い金がもらえる「永年勤続休暇」、月2回実施している定時で業務を終えて帰る「かえるでぇ~」があります。コミュニケーションや勉強の場を図るため、レクリエーションスペースには卓球台を設置。ミーティングのない時間は社員の憩いの場となっているようです。社員であればだれでも開催・参加できる勉強会「gloops Study」などもあります。

また、gloopsには結婚、出産後も働きやすいような福利厚生がそろっています。育児や看護などの事情により、通常通りの出勤が難しい場合に利用できるのが「時間短縮勤務制度」です。1日4時間以上勤務すれば、時間を短縮して働くことができます。子供が生まれた際は、第1子10万円、第2子20万円、第3子30万円の「出産祝い金」が支給され、配偶者が出産した際は男性でも5日間の「出産休暇」がもらえるようです。

ほかにも、「誕生日祝い金」や「引っ越し支援制度」など、gloopsには社員のモチベーションを上げる制度が多数そろっています。

gloopsの知られざる裏側

いまでこそソーシャルゲームの会社として地位を確立させた株式会社gloopsですが、最初はゲームやインターネットとは関係のない業務を行っていたといいます。どんな会社だったのでしょうか?知られざるgloopsの裏側についてみていきたいと思います!

梶原吉広氏が会社を立ち上げた当初、会社名はgloopsではなく「グローバルメディアソリューション」でした。行っていたのは、広告代理店業務。扱っていたのは、インターネット媒体ではなく紙の広告だったといいます。どのようなきっかけでインターネットに携わることになったかというと、その当時はmixiなどのSNSがはやり始めたころだったそうです。それを見た梶原氏は、やるべきものはこれだと思ったといいます。広告業は初年度で2億5000万円を売り上げるほど好調だったため、そこで得た資金をSNSの分野に投入したそうです。当時は社員が3人だったにもかかわらず、この売上。やはり成功する企業は、はじめから成功し続けているのでしょうか?

最初に行ったインターネット事業は、「nendo.tv」というサービスでした。Adobe社のFlexという技術を使い、パーソナルホームページとSNSの機能を合わせたものだったようですが、これがあまりうまくいかなかったとのこと。その後、携帯電話向けSNS「REAL」を開始しますが、こちらもまったくユーザーが集まらなかったそうです。そこで始めたのが、「渋谷クエスト」というゲーム。ここからgloopsのソーシャルゲームの歴史が始まっていったのです。「渋谷クエスト」が見事にヒットし、gloopsはソーシャルゲーム界の先駆け的存在となりました。最初からすべてがうまくいっていたのではなく、あらゆる失敗を経てgloopsは今の地位を獲得したのです。今後も目が離せません!